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一般の方へ:市民のための薬と病気のお話

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市民のための薬と病気のお話

ちょっと教えて

薬

Q2薬の飲み合わせが悪いと死亡する?

A2

薬物相互作用とは・・・

数種類の薬をいろいろと飲み合わせた時や、食べ物と薬の取り合わせが悪い時に起こる薬の副作用の増加(薬の副作用が強まったり)や薬の効果の減少(薬の効果が弱まったり)などの現象をさします。

それでは薬物相互作用は怖いことなのでしょうか?・・・
ソリブジン事件というのがありました。これは、抗癌剤を服用中の癌患者に帯状疱疹ができたためにその特効薬であるソリブジンという新薬を癌患者が服用したところ、抗癌薬の副作用(骨髄障害など)で死亡にいたったという事件です。

N社は1993年9月にソリブジンと呼ばれる抗ウィルス薬の錠剤の販売を始めました。ソリブジンは化学構造上、抗癌薬の5-フルオロウラシル(5-FU)によく似た薬です。癌患者が抗癌剤で治療を受けると、副作用で免疫力が低下します。何故ならば、抗癌薬は増殖力の強い細胞に対して特異的に作用しますから、癌細胞のみならず、体内の正常細胞の中でもとりわけ増殖力の強い細胞――毛髪、消化管の上皮細胞、骨髄細胞――にも作用します。

この内、骨髄細胞は赤血球、白血球、血小板などの血液細胞の元になる細胞ですから、抗癌薬の影響で骨髄細胞が死滅しますと、白血球が減少します。白血球が減ると、私たちの体の免疫力が弱くなりますから、通常であれば感染しないような弱毒ウィルスや弱毒菌に感染し易くなります。帯状疱疹もその一例です。帯状疱疹の原因ウィルスは本来それほど強くないウイルスですが、体の抵抗力が弱った状態ですと、感染し易くなります。帯状疱疹のウィルスに感染しますと、背中や脇腹に帯び状の発疹が無数にでき、激しく痛みます。

ソリブジンは他の抗ウイルス薬よりもはるかに帯状疱疹の原因ウイルスに良く効く優れた抗ウイルス薬です。癌患者の帯状疱疹はソリブジンの服用により治りましたが、5-FUの副作用で亡くなられました。ソリブジンの化学構造は抗癌薬の5-FUの化学構造に極めてよく似ていますので、ソリブジンにより患者が同時に服用した5-FUの代謝が阻害され、その結果、血液中の5-FU濃度が異常なほどの高濃度になり、骨髄障害を引き起こしたからでした。もちろん、ソリブジンは発売禁止薬になりました。

(回答者:高田寛治)

5-フルオロウラシル

5-フルオロウラシル

ソリブジン

ソリブジン


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